2012（平成２４年）トヨタ クラウン ロイヤル TOYOTA CROWN ROYAL

2012年１２月トヨタ自動車（株）発行、「クラウン ロイヤル」カタログ抜粋。 　　「権力より、愛だね。」　　新型クラウンは「ハイブリッド」と「ガソリン車」の二種を「ロイヤル・シリーズ」と「アスリート・シリーズ」それぞれに用意した。私としては、この2012年１２月に発売されたクラウンが本当の意味で「ゼロ・クラウン」であると思う。ただし、段々クラウン ユーザーの年齢層が高くなってしまい販売サイドとしては、もっと早い時期に１８０系、いわゆる「ゼロ・クラウン」を欲したのであろう。1955（昭和３０年）発売の、国産車（死語?）で初めて日本デンソーの協力を得て「カー・ラジオ」を装備した本格的国産乗用車であった「観音開きのクラウン」以来、トヨタ車ラインアップでいちばん歴史があるクラウンが販売台数先細りでは困るわけである。2003（平成15年）当時、お気に入りであった１３年落ちのUZS131型クラウンV8ロイヤルサルーンを駆って行き、東京・六本木の全日空ホテルの発表会場で振舞われたカピカピの寿司と共に見た180系「ゼロ・クラウン」の印象は「なにもムリして、ここでゼロにしなくても・・」という感じであった。たしかに乗ってみれば「まぁ、クラウンかなぁ?」ぐらいの印象は持ったものの、クラウンとしての何かが欠けていたと思う。長らくクラウンを買い続けたユーザーにとって、クラウンは静かで、乗り心地も良く、装備も充実しているのは当たり前である。歴代クラウンは新型が発売される度に「あぁ、新型クラウンはいいね」と思わせるものがあったはずであり、だからこそ「いつかはクラウンに・・・」と思わせたものである。ところが、１８０系「ゼロ・クラウン」には何も無かった。「ゼロ・クラウンなのだから仕方が無い」と言えば、それもトヨタの狙いどころであって、「今後を考えるためのゼロ・クラウンなのだ」という事もあるにはあった。1980年代後半から1990年代初頭のバブル経済期以降、比較的に若い人もクラウンに乗れるようになったのであるから尚更" ゼロ" にしたくなるのも解からないでもない。しかし、何も新しい提案が無いクラウンにも困りものであると思う。１８０系の販売面では1971（昭和46年）発売のMS60型「スピンドル・クラウン」の二の舞かと心配にもなった。１７０系クラウンが比較的ヒットし、販売が振るわないであろう次期型、つまり１８０系クラウンでやるしかなかった。まぁ、狙い通りであったハズである。しかし、やっとここで「まぁまぁクラウンらしい」クラウンが発売されたことに少し安心した。アスリート・シリーズに新採用した「亜麻のシート」も好評価に値すると思う。1890（明治２３年）秋、豊田 佐吉 翁が完成した「豊田式自動織機」に始まった「織物のプロ」でもあるトヨタのクロス張りシートは本皮革張りシートと同じくらい高級であるうえ、いかにも日本車らしく好感が持てる。スタイリングに関しては、恐らく王冠（クラウン）をモチーフとしたであろうラジエター・グリルと共に賛否両論あるだろう。スタイリングと機能性の両立は難しい。しかし、そこは開発サンの腕のみせどころであろうと思う。新型クラウンのサスペンションの味付けや、フロント・シートを最大に後退させると身長176ｃｍの私でもフロント・シートバックに膝が触れること、「ドア ボーイがいるホテル」などへ乗り付ける際には問題にはならないであろうが、リヤドアーを開く際にドアエッジが邪魔をすることなど、細々と注文をつけたくなるところも、あるにはあるが、レクサスがある現在ではドメスティックな「日本のクラウン」を考える良い機会であろう。少しの都市工学と少しの夢も感じられるので、これでも良しとしたい。何しろ私にとって「ゼロ・クラウン」なのだから・・・。ちなみに、2013年９月から１ヶ月間だけ限定販売した「ピンク・クラウン」は６５０台売れたそうです（祝） カタログ協力：東京トヨペット（株） [CarShionDs](カーションズ）Automobiles and Tradings,東京・町田 　渡辺 朋幸（Tomoyuki.C.Watanabe.)